滋賀麻
江戸時代から伝統の「近江の滋賀麻」を現代に
江戸時代、中山道六十六番目の宿場町として栄えた愛知川(えちがわ)宿。
江戸時代から近江上布をはじめ麻織物で発展してきた土地では、その原料を大麻から苧麻(ラミー)・亜麻(アマ)に変えて麻織物文化を継承しています。
麻糸は糸切れを起こしやすいことから綿織物のように高速で織ることができないうえ、つきっきりで糸を調整し、切れたらつなぐという手技が必要。そのため、一日に織れる量は他の繊維と比較にならないほど少量です。
機械式の織機を駆使しながらも、要所では今もなお熟練の職人の手技で手間ひまと愛情をかけて麻生地づくりは行われています。
この土地でつくられる麻生地「近江麻」の最大の特徴は、綿のちぢみ(クレープや楊柳とも呼ばれる)と違い、使い続けても「しぼ」が半永久的にとれず、肌離れのよいさっぱりとした質感を保てること。
今は、化学繊維や加工方法でひんやり感を出す寝具がでていますが、麻は古来より日本の夏を支えてきた天然の接触冷感素材です。綿のように水分を溜め込まず、吸湿放散性に優れているので、湿度の高い日本の夏にとても適しています。
冷房を15分ほど直接この寝具にあて冷やしておくと、そのあと冷房を切っても2度ほど体感温度が違います。夏は暑さもさることながら、冷房に一晩中当たり続けたり、氷枕で冷やしすぎたりして体調を崩すことも…。
ほどよく涼をとる昔の人の知恵に思いを馳せながら、現代の日本の夏の過ごし方を見直していきたいものです。
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